NON DESTRUCTIVE TESTING
超音波とは
耳では聞こえない高い周波数の音
音は空気の振動です。私たちの耳に聞こえるのは、振動数が1秒間に2万回の音(20kHz)です。一般に、周波数が20kHzより高い音を、超音波といいます。
超音波の特徴
超音波の周波数と波長の関係
超音波は音響振動で波のように伝わりますが、その波の1周期分長さを「波長」と呼びます。周波数が低いほど波長は長く、周波数が高いほど波長は短くなるという関係があります。60ヘルツとは、波(山と谷で1組)が1秒間に60回繰り返すことをいいます。
波長(m)= 音速(m/s)÷ 周波数(Hz)
媒質による音速の違い
波の種類
音波は媒質の振動が伝播する現象で、媒質の振動が波の進行方向に対して平行であるものを縦波といい、垂直であるものを横波という。媒質の種類により縦波が伝播できるか、横波が伝播できるかが決まる。
ご参考資料〜音波と波長
媒質によって超音波が伝わりやすい・伝わりにくい
物質 | 密度(g/cm3) | 縦波 CL(m/s) | 縦波 λ(mm) | 横波 CL(m/s) | 横波 λ(mm) |
---|---|---|---|---|---|
アルミニウム | 2.70 | 6260 | 1.25 | 3080 | 0.63 |
鋼 | 7.80 | 5900 | 1.18 | 3230 | 0.65 |
アクリル樹脂 | 1.18 | 2730 | 0.55 | 1430 | 0.29 |
グリセリン | 1.26 | 1920 | 0.38 | ||
水(20℃) | 1.00 | 1480 | 0.3 | ||
油 | 0.92 | 1390 | 0.28 | ||
空気 | 0.0012 | 340 | 0.07 |
音響インピーダンス
音響インピーダンスとは?
音響インピーダンスとは、音の伝搬のしやすさを数値で表したもの。また媒質の音響インピーダンスにより、反射や透過をするという性質があります。反射は音響インピーダンスに差がある媒質間(金属材料間、組織間等)の境界にて起こります。音響インピーダンスは(Z)は、音速(C)と密度(ρ)で、次の式で表される。
音響インピーダンス(Z) = 密度(ρ)×音速(C)
垂直入射の場合
超音波は異なる媒質との境界面において一部は反射し、一部は通過する。境界面に垂直に入射する場合、反射する超音波は伝搬してきた方向に戻り通過する超音波は垂直に通過する。その様子を下図に示しています。接している2つの媒質の音響インピーダンスの差が大きいほど音圧反射率は大きくなります。
なぜ超音波探傷試験をする時に水を使うのか?
音響インピーダンスを近くして被検査体内部に多くの超音波を通過させるためです。探触子と被検査体の間に空気層があると、ほとんどの超音波は表面で反射して、内部に入射する事ができなくなります。
物質 | 音響インピーダンス z(10⁶kg/m²s) | 空気 | 水 | 油 | グリセリン | アクリル樹脂 |
---|---|---|---|---|---|---|
アルミニウム | 16.9 | 100 | 86 | 84 | 75 | 68 |
鋼 | 46.02 | 100 | 95 | 94 | 90 | 87 |
アクリル樹脂 | 3.22 | 100 | 43 | 37 | 14 |
斜め入射の場合
下図のように2つの媒質の平らな境界面に超音波が斜め入射すると、その一部は境界面で反射波となり、残りは屈折波として通過する。その時に、入射角α、反射角β、屈折角θと媒質1の音速C1及び媒質2の音速C2との関係は、スネルの法則と呼ばれる次の式で表される。